新出題基準の変更・追加された点の問題と解説⑩:【看護国試の重要新項目】看護におけるリロケーションとは?

リロケーションとは?


今回はリロケーションについてです。出題基準に新たに追加された項目です。

リロケーションとは、転勤や転職などによる赴任等を意味します。その結果として、必然的に職場や生活環境が変化していきます。多くの人々は、こうした変化に適応して生活していくわけです。そしてこうした適応過程から、生活を前向きに生きようとする力をたくわえていくことになります。

地方に在住している高齢者が首都圏で生活している息子や娘の家族のもとに移住することによる諸問題もこれに含まれてきます。




看護学の場合のリロケーション


看護におけるリロケーションは、在宅から医療施設、医療施設から介護保険施設などへの移動を指します。

対象は高齢者を例に挙げていきます。

高齢者はそれまで慣れ親しんできた環境(自宅、入院によって長期に生活した病院など)から離れて、変化に伴うライフスタイルの再構築をしていかなければいけません。

その結果、さまざまなストレスを蓄積させて、閉じこもりや引きこもりといった日々を過ごすことになることが多いです。

そうした過程から適応が困難となって、不適応感がたまっていくと、人間の心身にダメージを与えることになります。

このダメージが長期にわたって継続されていくと、人間の心身は過疲弊して健康を害することは明らかといえます。よく知られている症状としては燃え尽き症候群抑うつ状態などが挙げられます。

また身体面では、寒冷な環境や運動不足がもたらすエコノミークラス症候群があり、そこから肺塞栓や脳梗塞によって死に至ることも認識されてきています。

これら人と環境の変化との不適応な作用から生じる心身のダメージをリロケーションダメージといいます。

特に高齢者にとっては、健康状態に影響を与えたり、疾患を誘発させたりする原因ともなるため注意が必要です。

認知症症状が悪化することもありますね。

転居先でのケア提供者は、入居直後から高齢者の理解を深め,高齢者の課題を具体的に解決する必要があります。

他にも、普段使用している身の回りの物を持参してもらったり、可能なかぎり部屋の移動を避けます。

部屋を移動する必要があるときには、ベッドの向きや位置、床頭台の位置などを変えないことも配慮できます。

また、高齢者自身が効果的な対処行動をとれているかを判断するため、笑顔や肯定的な発言がみられるかなど注意深く観察することが重要です。