【看護国試】第101回 廃用症候群の予防で正しいのはどれか。

みなさん、こんにちは。
ノーベル賞の発表があり、大隅良典(おおすみ よしのり)先生が医学・生理学賞を受賞されました。すごいですね。
みなさんもノーベル賞が欲しいですか? 来年は無理かもしれないですね。しかし、みなさんは来年3月には「努力賞」という賞が取れるはず。がんばっていきましょう。

では、昨日の問題の答から

問題 廃用症候群の予防で正しいのはどれか。
1. 温罨法
2. 安静臥床
3. 減塩食の提供
4. 関節可動域訓練

第101回看護師国家試験 午前問題20


昨日の解答解説
解答 4
解説  廃用症候群とは、運動不足、安静臥床などによって生じた二次的な身体的機能の低下をいう。これを予防するためには、早期離床や積極的なリハビリを促すことが重要である。
1.(×)温めることは血液循環を促進するが、直接予防にはならない。
2.(×)安静臥床による二次的障害が廃用症候群である。
3.(×)減塩食は、廃用症候群の予防には直接関係がない。
4.(○)関節拘縮の予防のための他動的関節可動域訓練や、筋力低下・廃用性筋萎縮に対する筋力増強訓練は積極的に行う。

今日は脱水症についてです。毎年夏には「脱水で救急搬送」「熱中症で死亡」というニュースが聞かれます。高齢者は脱水になりやすいです。在宅では普通に生活していても脱水になる高齢者がいます。病院では、嘔吐や下痢などで発生することがあるのではないでしょうか。

<原因>
①筋肉量が低下する
加齢と活動量の低下により、高齢者では筋肉量が低下しています。筋肉は身体でもっとも多くの体液を含んでいます。筋肉量の減少は体液の減少に直結し、脱水症のリスクを高めてしまいます。
②喉の渇きを自覚しにくい
加齢とともに口渇中枢の機能が下がり、体液が減少しても喉の渇きを自覚しにくくなります。「喉が渇いていない」のではなく、「渇いているのがわからない」から、水分摂取が少なくなります。
③腎臓の機能が低下する
体液の喪失を防ぐには、腎臓で水分や電解質を再吸収する必要があります。動脈硬化やホルモン環境の変化に伴い、加齢とともに腎機能が低下するため、水分や電解質が失われて脱水症のリスクが高まります。
④全体的な食事量が不足する
食べ物からも1日1,000mlほどの水分と電解質を摂取しています。加齢で食が細くなると、全体的な食事量が減り、水分と電解質が不足しやすくなります。高齢者の場合、精神的なストレスでも食欲が低下しやすいです。
⑤トイレに行く回数を減らしたいから、水分を摂らない
加齢とともに抗利尿ホルモン(腎臓で水分と電解質の再吸収を促します)に対する腎臓の反応が低下します。薄い尿がたくさん出ます。高齢者本人が夜間などに頻繁にトイレに行くことを嫌がったり、介護者に気を使ったりした結果、水分摂取を制限して脱水症になりやすいです。
⑥利尿作用を持つ治療薬で体液を喪失しやすい
高血圧や心不全に罹患している人の割合が高くなります。高血圧や心不全の治療薬は、尿を増やす利尿効果を持つものがあります。これらの治療薬を使用すると尿の量が増え、体液を失いやすくなります。

<予防と看護ケア>
(1)水分摂取量と排泄量を把握する
水分摂取量と排泄量は、水分出納表に記入する。
(2)高齢者が必要な水分量や電解質を摂取できるよう援助する
①高齢者に必要な水分量 
経口水分量は1,500~2,000mlは必要になる。
食事摂取量が少ないときや発熱、下痢、嘔吐があるとき、夏期の高温時、運動や入浴の後など、水分や電解質が失われているときは、経口水分量を増やしていく必要がある。
手の届きやすいところに飲み物を準備しておく、種類にも変化をつけるなどで、積極的に水分摂取を勧めていく。
②水分摂取の必要性を理解する
高齢者は、尿失禁や下痢を恐れて水分摂取を控える傾向があるため、摂取の必要性を十分に説明する。
③形態を工夫する
本人が好み、飲み込みやすいものを少量ずつ、回数を増やし摂取する。嚥下障害があるときは、ゼリー状にしたり、市販されている増粘剤を利用してとろみをつけたりする。

<脱水発生時の看護ケア>
①輸液による脱水症状の軽減
身体機能が低下している高齢者の脱水がすすむと、経口からの摂取が困難になる。そのため、輸液が行われる場合が多い。水分出納のチェックを行い、輸液によって食欲が回復してきたら、経口による水分摂取にきりかえていく。
②皮膚や粘膜を保護する
脱水が高度になると、全身倦怠感が増強して臥床時間が長くなるために、褥創が発生しやすくなる。口腔内では唾液の粘調性が高まり不潔になりやすい。そのため皮膚や粘膜を保護し、清潔に保つことも重要である。

では、ここで問題です。

問題 水欠乏性脱水で低下するのはどれか。
1. 尿 量
2. 尿比重
3. 血漿浸透圧
4. 血清ナトリウム値

第95回 看護師国家試験 午前問題12

本日はここまで。よい週末をお過ごしください。