【看護国試】第99回 63歳の女性。末期の悪性腫瘍で在宅療養となった。公的保険で受けられるサービスで正しいのはどれか。

みなさん、こんにちは。
勉強がんばっていますか? さて、「病院から勉強時間が十分にもらえない」という候補者がいます。勉強時間はそれぞれの病院によって決められているので、勉強時間の多い人、少ない人がいると思います。しかし、勉強時間を多くもらっていても必ずしもたくさん勉強しているとは限らないと思っています。病院からあまり勉強時間をもらっていない人でも国家試験に合格した人は何人もいます。大事なのは自分で時間をマネージメントしてやっていくことと思います。それぞれの環境で自分の力を発揮して国家試験にチャレンジしてね。

では昨日の問題の答から

問題 63歳の女性。末期の悪性腫瘍で在宅療養となった。公的保険で受けられるサービスで正しいのはどれか。
1. 訪問看護医療保険の対象となる。
2. 訪問看護の回数は週3回に限られる。
3. 訪問看護の回数は1日1回に限られる。
4. 介護保険によるサービスは受けられない。

第99回看護師国家試験 午前問題48

解答解説
解答 1
解説
1.(〇) 訪問看護医療保険の対象となる。→ 介護保険の第2号被保険者であるが、末期の悪性腫瘍のため医療保険対象。
2.(×) 訪問看護の回数は週3回に限られる。→ 訪問看護の回数は、医療保険では原則週3回までが限度となるが、厚生労働大臣が定める疾病等の場合は週4日以上の訪問看護がみとめられる。よって末期の悪性腫瘍は訪問回数の制限はない。
3. (×) 訪問看護の回数は1日1回に限られる。→ 利用者の状態によって1日数回の訪問も可能である。
4. (×) 介護保険によるサービスは受けられない。→ 介護保険の第2号被保険者に認定されるため、訪問看護医療保険で訪問するが、他の介護保険サービス(訪問介護福祉用具貸与、訪問入浴介護等)の利用は可能である。

*ちょっと4がひっかけ問題でした。訪問看護医療保険介護保険とは同時に受けられないということが分かっている人がひっかかりやすい問題です。

さて、今日は「訪問看護ステーションを運営する時に大切なこと」についてです。設備や人員基準も大切ですし、心構えも大切です。
ここでは『病棟の看護ではなかなか無いかもしれない』ということを中心に見ていきます。

■内容及び手続きの説明・同意・書類の交付 =契約手続き
利用者に対し適切な訪問看護を提供するため、運営規定の概要、看護師等の勤務体制、事故発生時の対応、苦情処理の体制などの重要事項について説明し、同意を得、書類を交付しなければなりません。なお、この同意については書面が望ましいとされています。

■提供拒否の禁止とサービス提供困難時の対応
正当な理由なく訪問看護の提供を拒んではならず、原則として利用申込みには応じなければなりません。特に要介護度や所得の多寡を理由にサービスの提供を拒否することは禁止されています。訪問看護のスタッフが現在の利用者で手一杯な場合などは認められます。
提供を拒むことができる正当な理由がある場合でも、ケアマネジャー等へ連絡を行い、適当な他の訪問看護事業所を紹介するなどの必要な措置を速やかに講じる必要があります。医療で困っているのです。健康や生命の危険も考えられるので、速やかに情報提供や相談に乗るなどで対応します。

■連携
訪問看護を提供するに当たっては、ケアマネジャー、保険医療サービス又は福祉サービスを提供する者との密接な連携に努めなければなりません。

■居宅サービス計画に沿ったサービスの提供
居宅サービス計画が作成されている場合は、その計画に沿った指定訪問看護を提供しなければなりません。また、計画に盛り込まれている内容に過不足がある場合は速やかにケアマネジャーに連絡をしたり、サービス担当者会議の場で発言をするとよいでしょう。

■サービス提供の記録と保管
訪問看護の提供日、内容、保険給付の額その他必要な事項を利用者の居宅サービス計画等の書面またはサービス利用票等に記載しなければなりません。「今日は何時から何時に30分以上1時間未満のサービスを実施しました…その内容は○○で、このような状態でした…」ということを記録します。状態の記録は病棟と同じですが、「サービスを提供した記録」というのは病棟ではあまり無いかと思います。記録は2年間保管する義務があります。

■秘密保持等
正当な理由がなく、その業務上知り得た利用者またはその家族の秘密を漏らしてはなりません。
在宅の場合、とても難しいのが、ご近所さまです。助けて下さる大切な社会資源でもありますが、私たちには守秘義務があります。感じが悪くないようにして守秘義務を守ります。
ありがたいことにご近所の方は「訪問看護の車が○○さんの前に停まっていたわよ!そんなに具合が悪いのかしら??」という心配をします。そして訪問看護師が利用者宅から出てくるのを捕まえて、「ねぇねぇ、あなた看護師さん?○○さん、そんなに具合悪いの?痩せてきちゃったけど癌だったの?」など、聞いてくる場合があります。
最近は「申し訳ないです。私たち、守秘義務がありますので」「個人情報なのでお話できないんです」と申し上げると、ご理解はされなくても「仕方ないわね」という反応が返ってくるようになりました。
そんな時には「ご近所の方がとても心配されてましたよ」とお伝えします。地域での課題は地域で当事者同士で解決していただきます。

ということで本日の問題です。

問題 在宅療養者に初回訪問を行う際の訪問看護師の対応で適切なのはどれか。2つ選べ。
1. 療養者と契約書を取り交わす。
2. 緊急時の連絡方法を確認する。
3. 初回訪問前の情報収集は行わない。
4. 病院で指導された介護方法は変更しない。
5. 初回訪問日は療養者に医療的な問題が起きてから決める。

第101回 看護師国家試験 午後問題86

では、また、明日。