【看護国試】母性看護学の状況設定!その2

 

 

 

 P15

 

 

第101回
Aさん(35歳、経産婦)は、妊娠中に妊娠糖尿病と診断され、食事療法を行っていた。Aさんは、妊娠39週3日に3,500gの児を自然分娩した。分娩の所要時間は2時間45分、出血量は450㎖、第1度会陰裂傷のため縫合術を受けた。児のApgar〈アプガー〉スコアは1分後8点、5分後9点であった。

問題1
生後1時間。Aさんの児は、体温36.8℃、心拍数150/分、呼吸数56/分である。呼吸は不規則であるが陥没呼吸や呻吟はみられない。四肢に軽度のチアノーゼがみられる。児への対応で最も優先すべきなのはどれか。

  • 1. 沐 浴
  • 2. 血糖値の測定
  • 3. 口腔内の吸引
  • 4. 保育器への収容

 

 

 

解説

 

 

正解は「2」です。

 

1. 児の呼吸や循環が安定してから行うので、浴沐浴は出生翌日から行います。

 

2. 妊娠糖尿病の母から出生した児は、新生児低血糖の頻度が高くなります。なので、血糖値の測定を最優先にします。

 

3. 出生後1時間経過しています。異常所見もないことから、積極的な吸引の必要性はありません。

 

4. 軽度のチアノーゼがありますが、低体温はなく、呼吸状態も安定しているため保育器に収容する必要性はありません。

 

 

 

問題2
分娩後6時間。Aさんは、体温37.2℃、脈拍64/分、血圧126/68mmHgである。子宮底の位置は臍高、子宮はやや軟らかく触れ、血性悪露が中等量みられる。下腹部痛はないが会陰縫合部の痛みが軽度ある。乳房に緊満はなく、乳腺開口は2、3本である。このときのAさんへの対応で最も適切なのはどれか。

  • 1. 床上安静を勧める。
  • 2. 下腹部に温罨法を行う。
  • 3. 子宮底の輪状マッサージを行う。
  • 4. 乳房の自己マッサージを指導する。

 

 

解説

 

 

正解は「3」です。

 

 

1. 安静ではなく、早期離床を勧めて子宮収縮の促進を促します。

 

2. 子宮収縮をそくしんさせるのは冷罨法でしたね。

 

3. 冷罨法や輪状マッサージを行い、子宮収縮を促します。

 

4. 乳頭刺激も間違いではないですが、最も適切ということを考えると即効性がある3が答えになります。

 

 

 

問題3
産褥4日。Aさんの血糖は、食前80mg/㎗で、食後2時間には110mg/㎗であった。児には2時間ごとに母乳を与えており、退院後も母乳育児を希望している。看護師はAさんから「これからはどのように血糖コントロールをしていくことになりますか」と質問された。Aさんへの説明で適切なのはどれか。

  • 1. 自己血糖測定を生涯継続していく必要がある。
  • 2. インスリンによる血糖コントロールが必要になる。
  • 3. 産後6週ころにブドウ糖負荷試験を受ける必要がある。
  • 4. 必要エネルギー量は非妊時と同等である。

 

 

解説

 

 

正解は「3」です。

 

 

1. 妊娠後に糖尿病発症する可能性はありますが、自己血糖測定の生涯継続していく必要性は低いです。

 

2. 現時点で高血糖状態はみられていないので、分娩後はインスリンの必要ありません。

 

3. 妊娠による糖代謝の変化が落ち着いてくる産後1~3か月後にブドウ糖負荷試験を行い、再診断を行うことが必要です。

 

4. 授乳期なので、付加カロリーとして350kcal程度加える必要があります。