【看護国試】第107回 お疲れ様でした!「ヘノッホ・シェーンライン紫斑病」とは?ついでに過去問も!

 

国試お疲れ様でした!

 

ずっとは勉強漬けでとても大変だったと思いますが、今日はいっぱいご飯食べてゆっくり休んでください。

 

合格発表まで長いので結果がわかるまで終わった感じがしませんよね…

 

でも!!

明日からその努力が報われる時です! 合格発表日や4月の入職までの時間は1番楽しい1ヶ月になります!楽しんでくださいね。

 

 

ヘノッホ・シェーンライン紫斑病とは?

 

 

さて、「ヘノッホ・シェーンライン紫斑病なんて聞いたことない」というつぶやきが多くみられました。

 

「Ⅲ型アレルギーのあれか!」となった人はすごいです!ただ正答率は低いでしょうから、全く見当がつかなかった方も合否には影響を及ぼすものではないので安心してくださいね。

 

 

ヘノッホ・シェーンライン紫斑病の基礎知識

 

体内の毛細血管にIgAが沈着することによって点状や斑状の皮下出血(紫斑)を発症する血管炎、それに伴って発症する腎炎を指します。

 

小児に頻度の多い血管炎で、1発症は3~10歳に最も多く、男児がやや多いです(男女比=2:1程度)。秋~冬に多くみられて、上気道~消化器感染の先行が多いです。

 

現在はIgA血管炎と名称が変わり、以前呼ばれていた名称が今回出題されたヘノッホ・シェーライン紫斑病です。

 

「IgA」とか「腎炎」という言葉で「IgA腎炎と関係があるのかな?」と思う方がいるかもしれません。

 

実は、皮膚組織では血管炎がみられて、腎臓の組織でみられるのがIgA腎症です。IgA腎症は生検を行うと糸球体のメサンギウム細胞にIgAの沈着がみられ、それによって炎症を起こしていたあの疾患です。

 

なので、IgAが関わっているとされていてはっきりした原因は分かっていませんが、免疫異常(免疫複合体が関与するⅢ型アレルギー)が考えられています。

 

 

ヘノッホ・シェーンライン紫斑病の症状

 

  • 皮膚症状:紫斑
    ・すね、足の甲、臀部、顔、腕など 
    ・点状出血が多く、褐色になって3-10日間で徐々に退色
  • 消化器症状:腹痛、嘔気、血便、腸重積など
  • 関節症状:膝や足首の関節痛、関節周囲の浮腫を伴うこともあり
  • 腎障害を起こした場合、発症から1~3週間後に血尿たんぱく尿 

 

※症状は同時に出現する場合と数週間~数か月間隔をあけて出現する場合があります。

 

 

 

 

ヘノッホ・シェーンライン紫斑病の検査・診断

 

  • 特異的発疹やその他の症状から診断していく
  • 検査は診断に必須ではないが、その他の病気や合併症を否定するために必要になることがある
  • 主な検査
    • 血液検査
      血小板数や血液凝固因子の異常の有無
      消化管出血により貧血が進んでいないか
      膠原病など似たような症状を起こす病気が隠れていないか
    • 尿検査:血尿たんぱく尿などの腎臓機能
    • 便検査:血便が混じっていないか
    • 腹部エコー:腸重積が疑われる場合に有効
    • 腎生検:腎障害が続く場合、ネフローゼ症候群腎機能低下、高血圧の合併などで行う。蛍光抗体直接法では、糸球体のメサンギウム領域にIgAの沈着がみられる。病理組織学的にはIgA腎症と鑑別することは困難とされている。 

 

 

 

ヘノッホ・シェーンライン紫斑病の治療

 

  • 安静と適切な水分補給が主な治療
    • 発疹だけの場合は安静のみで改善することが多い
    • 激しい運動は避けて、足はできるだけ挙げて生活する
    • 自宅で安静が難しい場合には入院が必要になることもある
  • 関節やお腹の痛みに対しては適宜、薬物治療を行う
    • 軽症例では非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やレクチゾールを使用する
    • 症状が強い場合にはステロイド(内服もしくは点滴)を使用する
    • 腸重積を合併している場合には早期に整復が必要
  • 腎障害を起こしている場合もほとんどの場合は軽症で、特別な治療は必要ない
    • 腎生検の結果が予後予測と治療方針決定に重要
    • ステロイド免疫を抑える薬(免疫抑制剤)を用いて治療する
    • 血漿交換や腎移植が必要になることもある

 

 

ヘノッホ・シェーンライン紫斑病の過去問

 

 

第105回 医師国家試験問題 血液内科(血栓止血領域)

問題

27歳の男性。腹痛と発疹とを主訴に来院した。3日前から腹痛と両下肢の赤い発疹とを生じた。両下腿から足背に浸潤を触れ、硝子圧試験で消退しない発疹が多発している。皮膚の病理組織学的検索で真皮上層に血管周囲性の炎症性細胞浸潤を認める。同時に蛍光抗体直接法を施行したところ免疫グロブリンの沈着を認める。下腿の写真(A)と皮膚生検組織の蛍光抗体直接法の写真(B)とを別に示す。
沈着している免疫グロブリンはどれか。 

 

 写真(A)

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写真 (B)

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  • 1. IgA
  • 2. IgD
  • 3. IgE
  • 4. IgG
  • 5. IgM

 

 

 

 

 

答えは「1」です。

 

写真 (A):下腿伸側の広範囲にわたる紫斑がみられる。

写真 (B):血管壁にIgAの沈着を認める。

これらのことから、シェーンライン・ヘノッホ紫斑病(IgA血管炎)の診断となることが考えられます。