【看護国試】レビューブックから削除されている3つの内分泌疾患とは?「原発性アルドステロン症」

 

これまでに何度質問受けたかわかりません。

 

「調べようとしてもレビューブックに載ってないんです。」

 

数年前まで掲載されていた疾患が最近のものには載っていないもの結構あるんですよね。

 

問題の中で選択肢の一部として出てくるものが大半であって、回答になるものはほとんどありませんが、いくつか取り上げていきたいと思います! 

 

 

今回は原発性アルドステロン症です。

 

 

 

 

第93回

免疫力が低下し感染症に罹患しやすくなるのはどれか。

  • 1. 甲状腺機能低下症
  • 2. 原発性アルドステロン症
  • 3. 高脂血症
  • 4. 糖尿病

 

 

 

 

解説

 

 

正解は「4」の糖尿病です。

 

 

解説

1. 甲状腺機能低下症

甲状腺機能低下症では、甲状腺ホルモンの分泌が障害されて甲状腺ホルモンの血中濃度が減ることから、基礎代謝や活動性が低下します。免疫力が低下して易感染になることとは直接関係はありません。

2. 原発性アルドステロン症

アルドステロンはACTHから刺激を受けた副腎皮質から分泌されるホルモンで、作用はナトリウムの再吸収とカリウムの排泄でした。ナトリウムが血中に取り込まれることで結果として血圧を上げます。

 

この原発性アルドステロン症は、副腎皮質からの分泌が過剰になってしまいます。つまりは、作用であるナトリウムの再吸収とカリウムの排泄が過剰に行われることになって、ナトリウムの再吸収が亢進して高血圧、カリウムの排泄が亢進して低カリウム血症を引き起こします。

 

実は細かいことをいうと、代謝性アルカローシスにもなりやすくなります。なぜでしょうかね?もし気になる方がいれば改めて解説しますね。

 

3. 高脂血症

高脂血症(現在の国試では、脂質異常症と出てきます。)と易感染との関連は性ありません。

 

4. 糖尿病

糖尿病は、白血球機能の低下などによって感染に対する免疫力が低下します。創傷治癒が遅れてなかったでしょうか?オペ後で糖尿病がある患者さんを受け持ったことがある方は経験があるかもしれません。

 

 

 

 

第27回 管理栄養士国家試験

内分泌疾患に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。

 

(1)バセドウ病では、血清甲状腺刺激ホルモン(TSH)値が上昇する。
(2)原発性アルドステロン症では、血漿レニン活性が上昇する。
(3)クッシング症候群では、糖新生が亢進する。
(4)甲状腺機能低下症では、血清コレステロール値が低下する。
(5)先端巨大症では、血清成長ホルモン(GH)値が低下する。

 

 

 

解説

 

答えは3です。

 

内分泌疾患は、ホルモンの分泌量が異常となるか、その働きが異常になることで引き起こされます。多くは前者です。分泌量が多すぎると機能亢進、少なすぎれば機能低下となりますね。


(1)甲状腺機能亢進症であるバセドウ病では、下垂体前葉から分泌される甲状腺刺激ホルモンは、フィードバックにより分泌が低下します。(甲状腺ホルモン値が上昇


(2)原発性アルドステロン症では、副腎皮質からアルドステロンが過剰に分泌されるものでした。ナトリウムの再吸収が促進されるということは血圧はどうなりましたっけ?上昇することからレニン活性は低下します。


(3)クッシング症候群は、副腎皮質過形成や腫瘍、下垂体異常などにより、グルココルチコイド(特にコルチゾール)が過剰に分泌され続けることで起こります。グルココルチコイドは肝臓での糖新生を亢進します。


(4)甲状腺機能低下症では、血清コレステロール値が上昇します。甲状腺ホルモンの分泌量が低下することで、コレステロールの合成が低下しますが、その一方でコレステロールの異化や排泄(肝臓に取り込んで胆汁とする)も低下します。結果的に血清コレステロール値の上昇が認められます。(後者、つまり異化と排泄に対する作用の方が強いです。)

(5)先端巨大症では、血清成長ホルモン値が上昇します。これは成長ホルモンの分泌が亢進している状態で、成長期だと巨人症、成人以降で起こると先端巨大症(末端肥大症)といいます。原因は下垂体前葉の成長ホルモン分泌細胞の異常によるもので、機能を保ったまま腫瘍化します。

 

 

 

 

第23回 管理栄養士国家試験

原発性アルドステロン症に関する記述である。誤っているのはどれか。

(1)代謝性アルカローシス
(2)低カリウム血症
(3)筋力の低下
(4)高血圧
(5)血漿レニン活性の亢進

 

 

解説

 

答えは5です。

 

(1)原発性アルドステロン症は、副腎皮質からアルドステロンが過剰に分泌されて、高血圧や低K血症を引き起こします。代謝性アルカローシスになることもあります。
 

(2)アルドステロンはカリウムの排泄を促進するので、低カリウム血症になります。

 

(3)カリウムの代謝異常によって筋線維内の興奮伝導障害が起こることがあります。四肢麻痺のような症状を発作を繰り返すことから、これを周期性四肢麻痺といいます。

 

(4)ナトリウムは、細胞外液の浸透圧を決める主要な因子です。体内のナトリウム量が増加すると体内の水分量や血管内の血液量もも増加します。その増えた血液を全身に循環させるために心拍出量が増加していきます。心拍出量が増加すれば血圧が上昇するので高血圧になります。

 

(5)循環血液量が増加すると腎血流も増加します。腎血流が増加すると糸球体に流れ込む血液も同じく増加します。糸球体の輸入細動脈の壁にある傍糸球体装置から分泌されるレニンは、腎血流(循環血液量)の減少が刺激になって分泌が亢進するので、原発性アルドステロン症ではレニン分泌は減少します。