【看護国試】母性看護学の状況設定!その3

 

 

 

 P16

 

 

第95回
30歳の1回経産婦。身長158cm、非妊時体重50kg。妊娠32週5日の健康診査の結果、子宮底長23cm、腹囲80cm、体重56.5kg、血圧154/98mmHg、下肢浮腫(+)。尿蛋白(±)、尿糖(-)、Hb11.2g/㎗。胎児心拍数140/分、推定児体重1,100g。30分のNST(nonstress test)で3回の一過性頻脈がみられた。近くに住む実母に1歳6か月の長男を預けて入院した。

問題1
入院時のアセスメントで適切なのはどれか。

  • 1. 肥満妊婦
  • 2. 妊婦貧血
  • 3. 胎児仮死徴候
  • 4. 胎児発育遅延徴候

 

 

 

解説

 

 

正解は「4」です。

 

1. BMIを計算すると20です。正常は22~25なので、肥満ではありません。

 

2. 妊娠貧血はHb11.0g/㎗未満の場合をいうので、貧血ではありません。

 

3. 30分のNSTで3回の一過性頻脈がみられているので、正常であると考えられます。

 

4. 胎児の体重の平均は、30週では推定体重が1500g、子宮底(9ヶ月なので、妊娠月数×3+3)は約27cmとされています。今回の事例では、子宮底23cm、推定体重1,100gなので、胎児発育遅延が考えられます。

 

 

 

問題2
降圧薬の内服が開始された。入院3日、血圧156/96mmHg、下肢浮腫(+)、尿蛋白(+)、尿糖(-)、尿量1,200㎖であった。この妊婦に必要なのはどれか。

  • 1. 安静の保持
  • 2. 水分制限
  • 3. 低蛋白食
  • 4. 乳房の手当て

 

 

解説

 

 

正解は「1」です。

 

 

1. 妊婦さんの血圧が高く、胎児も発育不全が考えられるので、胎児への血液供給を高めるためにも安静の保持が必要です。

 

2. 水分の制限は脱水になって血液濃縮を起こすこともあるし、記載はありませんが、便秘予防のためにも制限はしません。

 

3. 妊娠高血圧症候群では、血管壁が脆弱化します。そんな状態で低蛋白食にしたら、蛋白質が血管外に出て低蛋白血症になりやすいので、高蛋白食にします。

 

4. 乳房の手当ては子宮収縮を誘発する可能性があるので、この場合で優先されるものではありません。むしろ禁忌です。

 

 

 

問題3
入院7日。血圧は142/90mmHgとなった。妊婦は「おなかの赤ちゃんのことも心配ですが、上の子が気がかりなので早く退院したい」と話す。対応で最も適切なのはどれか。

  • 1. 長男の話題を避ける。
  • 2. 母児の生命危機について話す。
  • 3. 長男の面会を調整する。
  • 4. 退院をすすめる。

 

 

解説

 

 

正解は「3」です。

 

 

1. 気になっていることに対して触れないことは、不安が増強するし、ストレスにもつながります。気がかりな子どもの話を表出してもらう環境作りや積極的に傾聴していくことが大切です。

 

2. 特に生命の危機などは書かれていません。

 

3. 不安を解消してもらうためにも、子どもとの面会について調節していくことは重要です。妊婦さんに寄り添って気持ちを受け止めて対応していくことが大切です。

 

4. 安静が必要なので、今の時点で退院は勧められません。3にあるように、子どもとの面会を調節することが優先です。