【看護国試】気管支喘息、COPD、過換気症候群のこと

 

 

みなさん今日もお疲れ様です!

 

講義終わりに渡した問題の解説を載せておきます。 

 

 

 

 

第88回 小児の気管支喘息について正しいのはどれか。

a.発作時には水分を制限する。

b.アレルゲンとしてはスギ花粉が多い。

c.呼気性呼吸困難である。

d.多くは思春期までに治癒する。

  • 1. a,b
  • 2. a,d
  • 3. b,c
  • 4. c,d

 

 

 

解説

 

 

正解は「4」です。

 

a. 発作時の水分補給を促したほうがよいです。水分補給を促すことで痰を喀出しやすくしたり、脱水予防にもなります。

 

b. 最も多いアレルゲンはハウスダストです。 

 

c. 気管支喘息の際は閉塞性肺疾患に分類されるので、空気の通り道が狭窄することから、呼気性呼吸困難を生じます。

 

d. 小児の気管支喘息は、その多くが思春期までに治癒するとされています。

 

 

 

第90回 3歳児が気管支喘息発作を起こした。アレルゲンはダニとハウスダストであった。家族への指導で適切なのはどれか。

  • 1. 一緒に寝ていたぬいぐるみを捨てる。
  • 2. 寝具は化学繊維のものを使用する。
  • 3. 就寝直前に掃除機をかける。
  • 4. 外のほこりが入らないよう窓を閉めておく。

 

 

解説

 

 

正解は「2」です。

 

 

1. 一緒に寝ていたぬいぐるみを捨てる。

ぬいぐるみはダニやハウスダストがたまりやすいですが、こまめに洗ったり、カバーを使うなど工夫することで減らすこともできます。一緒に寝るほど愛着のある物を捨ててしまうとは、小児にとって計りきれないほどの大きなショックを受ける可能性があるので適しません。

 

2. 寝具は化学繊維のものを使用する。

気管支喘息がある場合、羽毛などの寝具は避けて、洗えるものを選びます。

 

3. 就寝直前に掃除機をかける。

掃除機をかけるとハウスダストが舞ってしまうので、就寝直前に行うのは適しません。

 

4. 外のほこりが入らないよう窓を閉めておく。

外の風が強ければ閉めておくべきですが、換気は重要です。

 

 

 

第98回 喘息発作のため救急外来に来院した小学生。喘鳴が著明で、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)は91%である。対応で最も適切なのはどれか。

  • 1. 会話を促す。
  • 2. 起坐位にする。
  • 3. 水分摂取を促す。
  • 4. 胸式呼吸を行わせる。

 

 

解説

 

 

正解は「2」です。

 

 

1. 会話を促す。

喘息発作によってSpO2が91%と低下がみられので、会話ではなく深呼吸を促した方がよいですね。

 

2. 起坐位にする。

少しでも呼吸しやすいように、まずは起坐位にします。横隔膜が下がると肺が広がりやすくなって呼吸がしやすくなります

 

3. 水分摂取を促す。

発作時は、痰を出しやすくするために水分摂取は必要です。現在はSpO2 91%の状態なので、少しでも呼吸困難を緩和させる援助が必要です。

 

4. 胸式呼吸を行わせる。

腹式呼吸を促した方がよいです。呼吸の時に活躍する横隔膜は、息を吸うときは役立つのですが、息を吐き出すときには役に立ちません。特に、発作時には気管支が縮んで狭くなっているので、息を吐くときに空気が出ていかず、CO2を多く含んだ空気が身体の中にたまってしまうことが問題です。何とか空気を吐き出して、新しい酸素をたくさん含んだ空気を取り入れなければいけません。そこで、腹部の筋肉を使って腹圧を高めると、たまっていた気を吐き出しやすくなります。これが腹式呼吸です。

 

 

 

 

第102回 気管支喘息に対する副腎皮質ステロイドの吸入療法について正しいのはどれか。

  • 1. 副作用は内服より少ない。
  • 2. 吸入後に含嗽はしない。
  • 3. 食後の吸入が食前より効果的である。
  • 4. 吸い込むタイミングで効果的な差はない。

 

 

解説

 

 

正解は「1」です。

 

 

1. 副作用は内服より少ない。

ステロイド薬は多くの副作用がありましたよね。ただ、吸入ステロイド薬は微量なので、副作用が少ないです。

 

2. 吸入後に含嗽はしない。

口腔内のカンジダ症の予防をするために吸入後はうがいをする必要があります。

 

3. 食後の吸入が食前より効果的である。

食前に吸入していれば、吸入後に薬剤が口腔内に残って場合、飲食物によって取り去ることが期待できます。

 

4. 吸い込むタイミングで効果的な差はない。

吸気と噴射のタイミングを合わせた方が十分な効果が得られます。

 

 

 

 

 

第94回 気管支喘息発作で入院した学童の看護で適切でないのはどれか。

  • 1. 安静臥床を勧めた。
  • 2. 呼吸法を指導した。
  • 3. 痰の喀出を促した。
  • 4. 水分摂取を促した。

 

 

 

解説

 

 

正解は「1」です。

 

 

1. 安静臥床を勧めた。

気管支喘息の発作時は、横隔膜を下げた方が換気面積を広げることができるため、起坐位の方がよいです。

 

2. 呼吸法を指導した。

前の問題でも出ていましたね!腹式呼吸や口すぼめ呼吸を勧めましょう。

 

3. 痰の喀出を促した。

これも出ていました。水分摂取をしてもらい、痰の喀出を促します。

 

4. 水分摂取を促した。

気管支喘息の発作時は、エネルギーを使うので代謝が亢進しているので脱水になりやすいです。疲れるんですよね。排痰を促すためにも水分摂取は必要でしたね。

 

 

 

 

第101回 肺気腫の患者が、歩行時の息切れが強くなってきたため受診した。呼吸数は34/分で、口唇のチアノーゼがみられた。この患者について正しいのはどれか。

  • 1. 1回換気量が増加している。
  • 2. 病状が進行するとPaCO2が上昇する。
  • 3. 呼気よりも吸気を促すと効果的である。
  • 4. 経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉は上昇している。

 

 

解説

 

 

正解は「2」です。

 

 

 

1. 1回換気量が増加している。

吐き出しきれない残気量が増大することから、1回換気量は低下します。

 

2. 病状が進行するとPaCO2が上昇する。

今回は肺気腫の増悪が疑われます。PaO2の低下と同時にPaCO2の上昇、CO2上昇により呼吸性アシドーシスの可能性があります。

 

3. 呼気よりも吸気を促すと効果的である。

呼気の障害であるため、呼気を促します。口すぼめ呼吸でゆっくり吐き切るように指導する必要があります。

 

4. 経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉は上昇している。

チアノーゼが確認されているので、SpO2が低下している可能性が高いと考えられます。

 

 

 

 

第102回 スパイロメトリーの結果による換気機能診断図を示す。閉塞性換気障害と診断される分類はどれか。

 

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  • 1. A
  • 2. B
  • 3. C
  • 4. D

 

 

 

解説

 

 

正解は「4」です。

 

 

 

1. A

1秒率70%以上、%肺活量80%以下は拘束性換気障害の特徴です。

 

2. B

1秒率70%以上、%肺活量80%以上なので正常です。

 

3. C

1秒率70%以下、%肺活量80%以下なので混合性(拘束性+閉塞性)換気障害です。

 

4. D◎

%肺活量は80%以上、1秒率が70%以下なので、これが閉塞性換気障害です。

 

 

 

第94回 慢性閉塞性肺疾患患者の日常生活の指導で誤っているのはどれか。

  • 1. カロリー制限
  • 2. 感染予防
  • 3. 禁煙
  • 4. 便秘予防

 

 

解説

 

 

正解は「1」です。

 

 

1. カロリー制限

消化がよくて栄養価の高いものを摂取することが大切です。

 

2. 感染予防

気道感染から悪化することが多いので感染予防が重要です。

 

3. 禁煙

ブリンクマン指数の上昇と症状悪化は比例するので、確実な禁煙が重要です。

 

4. 便秘予防

呼吸障害から運動量の減少や食事摂取量の減少をきたし、便秘になりやすくなります。便秘は排便時の努責によって呼吸負担につながるので、日頃から便秘予防を心がける必要があります。

 

 

 

 

第91回 喫煙習慣のある夫と2人暮らしの慢性閉塞性肺疾患COPD)の主婦が在宅酸素療法を開始することになった。適切な指導はどれか。

a.調理には電磁器具を使用する。

b.夫は禁煙または分煙する。

c.入浴時には酸素吸入を中止する。

d.酸素流量は呼吸状態にあわせて調節する。

  • 1. a,b
  • 2. a,d
  • 3. b,c
  • 4. c,d

 

解説

 

 

正解は「1」です。

 

 

a.b. 酸素療法時は周囲約2mは火気厳禁です。ガスや石油類ではなく電、磁器具を使用したり、禁煙対策が必要です。

 

c. 入浴は酸素消費量を増加させるので、酸素吸入を装着したまま入浴します。

 

d. 自己判断で中止することはできません。酸素吸入の中止や酸素流量の変更などは医師の判断に従うことを十分に説明する必要があります。

 

 

 

 

 

第94回 20歳の女性。突然の呼吸困難によって救急車で来院した。呼吸数38/分、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)99%、手のしびれを訴えていた。対応で適切なのはどれか。

  • 1. 酸素吸入
  • 2. 起座呼吸
  • 3. 紙袋による再呼吸法
  • 4. 口すぼめ呼吸

 

 

解説

 

 

正解は「3」です。

 

 

 

 

1. 酸素吸入

酸素飽和度99%なので酸素吸入の必要はありません。

 

2. 起座呼吸

うっ血性心不全や喘息発作時であれば、横隔膜が下がって胸腔が広がり呼吸が楽になりましたね。今回はそういった記述はないので当てはまりません。

 

3. 紙袋による再呼吸法◎

呼吸困難があってSpO2 99%、呼吸数38/分ということから、換気症候群が考えられます。現在であれば疑問が残る方法ですが、ペーパーバッグ法で吐き出しすぎたCO2を体内に戻すことが行われていました。

 

4. 口すぼめ呼吸

口すぼめ呼吸を行うと、気道内圧が高まって気道が広げることができます。