【看護国試】第90回 85歳の女性。共働きの息子夫婦と同居し、日中は一人で過ごしている。白内障があり、視力は0.3程度である。階段でつまずき、転倒し、大腿骨頸部骨折を起こし、人工骨頭置換術を受けた。看護婦が訪室すると、「歩く練習を頑張っているからもうすぐ自宅に帰れると楽しみにしていたのに、さっき息子が来て、家でひとりにしておくのが心配だからしばらく施設に入って欲しいって、まだ自分でできないこともあるから何も言えなかったけど、なんだかとても惨めな気分」と話し、肩を落としている。

みなさん、こんにちは。
10月8日に必修模擬試験をやりました。ずいぶん学習が進みましたね。
勉強はすればするほどわかっていくものです。
まだ、80%取れていない人は、とりあえず、必修問題を80%正答するようにがんばりましょう。一般問題や状況設定問題よりも必修問題を80%正答することが先です。
がんばって。

では、昨日の問題の答から

問題 85歳の女性。共働きの息子夫婦と同居し、日中は一人で過ごしている。白内障があり、視力は0.3程度である。階段でつまずき、転倒し、大腿骨頸部骨折を起こし、人工骨頭置換術を受けた。看護婦が訪室すると、「歩く練習を頑張っているからもうすぐ自宅に帰れると楽しみにしていたのに、さっき息子が来て、家でひとりにしておくのが心配だからしばらく施設に入って欲しいって、まだ自分でできないこともあるから何も言えなかったけど、なんだかとても惨めな気分」と話し、肩を落としている。
患者の退院計画を立案するに当たり、最も重要となるのはどれか。

1. 住宅改修の意思があるのか息子に確認する。
2. 本人と息子夫婦とが話し合う場を作るよう提案する。
3. 自宅での生活の仕方を本人に確認する。
4. ソーシャルワーカーを紹介し、入所先を相談する。

第90回看護師国家試験 午後問題27改訂

昨日の解答解説
解答 2
解説
看護者に決定権はなく、家族間の調整を図ることが重要である。お互いの気持ちを充分話し合い、よい方法を考えていくことが望まれる。
1.(×)息子は「施設に入ることを考えている」、本人は「自宅に帰ることを楽しみにしている」ので、現状では息子に住宅改修について確認してもあまり意味がない。
2.(〇)気持ちや考えをお互いに伝え、決定に向けていくように促す。
3.(×)生活の仕方は、家族の協力も得る必要があるので本人だけでは足りない。
4.(×)入所が決まったわけではないので、まずはお互いの意思を確認したり、在宅生活が出来ないかどうかについても話しあっていくことが大切である。

本日は、「介護する家族」についてです。高齢者看護学でも在宅看護論でも、患者を単体(その人一人だけ)ではみないで、その人の家族とユニットで見ています。
日本では3世代家族が減少し、核家族になっています。若い世代も共働きで大変忙しいです。病気の高齢者の毎日の世話ができそうにない…それが一般的な現状のようです。

実は介護保険が始まった頃は「お嫁さんが泣かない介護保険」というようなキャッチフレーズもあったんですよ。だいたい、お嫁さんが高齢者をケアしていたんですね。しかし「家族が介護をして当然」、ではありません。親の介護をするために働くことができる人が仕事を辞めて毎日ケアしなければならない状態もあります。介護のために若い人が仕事を辞めないようにするためにはどうしたらいいのか、これがこの何年かの課題です。

大切なのは「介護力の評価(かいごりょくのひょうか)」です。「介護力(かいごりょく)」というのはその人をケアできる力です。介護をする時間や能力や体力や経済力や人数を含めたものを指すことがあります。↓

http://www.city.kawasaki.jp/33/cmsfiles/contents/0000037/37855/ida/iryou/kaigoscore.html外部リンク

介護負担感という言葉は聞いたことがあるかと思います。介護力は負担感の有無だけではありません。家族だけでなく、介護士さんやヘルパーさんを含めて「在宅介護を継続するために必要な介護者のもつ総合的な力」と言えます。総合的な力です。
介護が必要になった時、これまでの生活や空間や人間関係を確保する・介護サービスを利用するなどの対応を行い、要介護者も家族もいきいきとした生活が継続できるような環境を確保すること…このようなことです。
「要介護者を思いやる力」「介護ケアを実践する力」「自己の健康管理をする力」「介護生活から自分の気持ちや時間や場所を転換する力」「周囲の援助を活用する力」「介護に対する負の感情を表出する力」などであると言われています。
これらに「時間」「経済力」などを加える人もいます。
個別性の高い介護の問題には、専門職によるチームアプローチが重要です。主になる介護者や家族の介護負担感を軽減し、介護力を高めたり補う関わり必要です。

最初は「こわいよ」「介護なんてできない」と言っていた家族が、高齢者の親を堂々とケアして看取っていた…という過程には、看護師の「介護力を高める関わり」があったのだと思います。

では、ここで問題です。

問題 Aさん、68歳の女性。71歳の夫と長男夫婦、95歳の寝たきりの義母の5人暮らし。3か月前に脳出血を発症し、入院治療を経て自宅に退院した。嚥下障害のため胃瘻を造設し、頻回に口腔内吸引が必要である。排泄はおむつを使用している。Aさんの介護認定は申請中で、介護は主に夫が行う予定である。要介護5の義母の介護は長男の妻が行い、週1回の訪問看護と入浴サービスを利用している。
義母への訪問の際、夫から「介護する家族が増えてしまったのでどうしたらよいのだろうか」と看護師に相談があった。家族の介護力を評価するための情報で最も重要なのはどれか。

1. 夫婦の関係性
2. 義母の健康状態
3. 長男の介護意欲
4. 夫と長男の妻の健康状態

第97回看護師国家試験 午後問題61

本日はここまで。また明日。