【看護国試】第91回 自宅で75歳の認知症の義母を介護しているAさんが「義母が『財布がなくなった。あなたが盗んだ』というので困っています」と訪問看護婦に訴えた。Aさんへの指導内容で適切なのはどれか。

先日、看護師候補者と勉強をしていた時、「知覚にはどんなものがありますか?」と質問しました。
候補者:「聴覚 視覚…触る…じゃなかった…ひ覚…味覚…び覚」
たぶん、違います。日本語を正しく覚えてください。 「触る」というのは触覚(しょっかく)です。「ひ覚」というのはたぶん「皮覚」と想像しましたか。そんな言葉はありません。
「び覚」というのは「鼻覚」と想像したのでしょうか。そんな言葉はありません。「嗅覚(きゅうかく)」といいます。知覚は「視覚(しかく)聴覚(ちょうかく)味覚(みかく)触覚(しょっかく)嗅覚(きゅうかく)」です。(あと2つありますが、学習会で説明したので省略します)「皮覚」も「鼻覚」もおもしろそうですが、国家試験には使えません。がんばって。

では、昨日の問題から

問題 自宅で75歳の認知症の義母を介護しているAさんが「義母が『財布がなくなった。あなたが盗んだ』というので困っています」と訪問看護婦に訴えた。Aさんへの指導内容で適切なのはどれか。
1. 義母と一緒に財布を捜す。
2. 興奮している間は義母のそばを離れる。
3. 「私は盗んでいませんよ」と答える。
4. Aさんが財布を見つけたら「ありましたよ」と義母に渡す。

第91回看護師国家試験 午前問題64改

昨日の解答解説
解答 1
解説
1. 義母と一緒に財布を捜す。→ しまった場所を忘れて取られたとの妄想を抱く「物とられ妄想」が、在宅療養上大きな問題点になることが多い。看護師は介護者に対して、本人には現状の認識が欠如していることや、ストレスが病状を悪化させることなどを、充分理解してもらうことが重要である。『物とられ妄想』に対しては、本人の不安を落ち着かせ自尊心を傷つけることのないように一緒に探す、などの対処方法を伝えておくことが必要である。
2. 興奮している間は義母のそばを離れる。→ そばを離れても見つからない不安はおさまらないため、不安を受け止めることが必要になる。
3. 「私は盗んでいませんよ」と答える。→ 「私は盗んでいませんよ」と言うことは、本人の反発・抵抗を招き、人間関係を悪化させるので避ける。
4. Aさんが財布を見つけたら「ありましたよ」と義母に渡す。→ 先に見つけてしまうと「やっぱり盗んだ」と思わせてしまう結果にもなりかねない。先に見つけてもAさんが見つけるまで待つ方がよい。


今日は医療機器を装着しながら療養している利用者への在宅看護です。
医療機器が発達し、在宅での用意に使えるほど、コンパクトになりました。吸引の器機も発達してきています。
在宅で人工呼吸器を使用している療養者の家族は、昼夜の区別なく、1~1.5 時間ごとに療養者の吸痰など介護を行っており、疲労困憊していました。低定量持続吸引が開発され、かかりつけ医師の裁量で使用ができるそうです。

訪問看護師の役割は、病状、介護力、ニーズ等を的確にアセスメントし、必要な看護を提供し、療養者の苦痛緩和に努めることです。また家族への介護指導、主治医との連携に基づく支援、介護スタッフとの連携に基づく支援等の役割もあります。緊急時には 24 時間体制で連絡を受け、あらかじめ決めておいた対応基準に基づいて対応していきます。
いろいろな人が関わります。しかし、24時間のほとんどは家族が介護を担います。家族と療養者が安心して在宅で過ごすことができる、人的物的環境をつねに見守ることが必要です。

本日の問題です。

問題 在宅人工呼吸療法の日常の管理で、療養者および家族への指導で適切なのはどれか。
1. フィルターの交換は業者が行う。
2. アンビューバッグの使用方法を練習する。
3. アラームが鳴ったら直ちに業者に連絡する。
4. 加温加湿器内の滅菌蒸留水は週1回交換する。

第97回看護師国家試験 午前問題85

本日はここまで。よい週末をお過ごしください。