新出題基準の変更・追加された点の問題と解説⑧:看護国試の状況設定に使える!血液性化学検査とりあえず7項目

今回は血液性化学検査についてです。

状況設定で多く見かけるようになってきました。

もう一度確認しておいてください。




第94回
栄養状態と最も関係する血清生化学検査項目はどれか。
1. AST(GOT)
2. アミラーゼ
3. アルブミン
4. HDLコレステロール







解説



1. AST(GOT)×
基準値:30 IU/L以下
AST(GOT)は細胞内でつくられる酵素です。肝細胞や心筋などに多く存在し、体内でのアミノ酸代謝やエネルギー代謝の過程で重要な働きをします。
これが血中にあるということは、肝細胞などの障害を意味するため、検査に使われています。

31 IU/L以上は細胞が障害を受けている疑いがあります。
何らかの原因によって細胞が破壊され、それが血液中に流れ出すと、血液中の数値が上がります。しかし、AST(GOT)は上記のように肝臓以外にも存在するため、値の増減が必ずしも肝臓に関係しているとはいえません。AST(GOT)値のみが高値を示す場合は、肝臓以外の病気である可能性もあります。肝機能の情報を得るには、ALT(GPT)も一緒に確認する必要があります。

ALT(GPT)
基準値:30 IU/L以下
主に肝細胞内でつくられる酵素です。体内でのアミノ酸代謝やエネルギー代謝の過程で重要な働きをします。

31 IU/L以上は肝細胞が障害を受けている疑いがあります。
何らかの原因によって肝細胞が破壊され、血液中に漏れ出します。この数値が高いということは、それだけ肝臓が障害を受けているという状態を反映しています。


2. アミラーゼ×
アミラーゼは、唾液や膵液に含まれる消化酵素です。膵臓の機能が低下すると、血中や尿中のアミラーゼが上昇することから、膵疾患の診断に用いられています。急性膵液の際には、膵臓内でトリプシノーゲンなどの不活化物質が活性化してしまい、膵臓組織や周辺組織を自己消化することで血中アミラーゼの上昇がみられます。


3. アルブミン
総たんぱくやアルブミンが栄養状態の指標として用いられます。アルブミンは肝臓で合成されるため、肝機能を知ることができます。

基準値:総たんぱく:6.5~8.5 g/dL  アルブミン:3.5~5.5 g/dL
総たんぱくは、血液中に含まれているたんぱくの総称です。アルブミンは総たんぱくの約67%を占めるたんぱく質です。
肝細胞でのみ造られ、血液中に存在しています。血液中の様々な物質を運んだり、体液の濃度を調整したりする働きがあります。

総たんぱく:6.6 g/dL以下、アルブミン:3.7 g/dL以下の場合、肝機能が低下している疑いがあります。
何らかの異常で肝機能が低下すると、肝臓のアルブミンをつくる能力が低下するため血液中の数値が下がります。


4. HDLコレステロール×
HDL(高比重リポ蛋白質)は動脈硬化を防ぐ因子で、動脈硬化の予後の判定などに用いられています。

基準値:HDLコレステロール:40 mg/dL 以上 LDLコレステロール70~140mg/dL

HDL-コレステロール
血液中の余分なコレステロールを肝臓に運ぶ役割をしています。血液中のコレステロールが増えるのを防いでいることから、「善玉コレステロール」と呼ばれています。
LDL-コレステロール
一方、コレステロールを細胞に届けているのがこちらです。細胞に必要以上にコレステロールが増えてしまうと、血管を硬化させて動脈硬化を促進します。このためHDLの「善玉コレステロール」に対し、LDLは「悪玉コレステロール」と呼ばれています。